hungry travelog
美しい海。うまいメシ。豪華なホテル。アジア方面の旅の記録。
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アメリカ人の登山家・グレッグ・モーテンソンが、世界第二の高峰であるK2登山に挑んだものの失敗。麓のパキスタンの村で療養生活をする中で彼らの生活に触れ、ここには学校、とくに女の子向けの学校がないことに問題意識をもち始める。
そして、彼は自らここに学校を建てることを決意する。
しかし金もコネもない。まず彼はどうしたかというと、アメリカの富豪や有名人に片っ端から援助を求める手紙を書いた。はじめはすべて手書きで(そのうちパソコンというものに出会い、手紙が簡単に量産できるようになって感動するくだりがある)。
パキスタン人の信頼できるパートナーを得て、村人たちの信頼を得るという地道な活動を続ける一方、著名人たちが眉唾の話に簡単に応じるはずもなく、苦労に苦労を重ねるのだが、ようやく一人の資金提供者が現れる。

材料だけ買ってきて建物を建てるのは自分たちで。
ようやく大金を携えてパキスタンの山麓の村を訪れても、村人達から「学校もたしかに必要だけど、グレッグさん、この村にとっていまいちばん必要なのは橋なんだ」と言われ、別の用途に使う羽目になったり。
支持者が増え、学校作りも組織的になり、順調に学校数が増えてきたところで9.11が発生したり。
怪しげなアメリカ人として目をつけられ、誘拐されたり、ビンラディンはどこに居るんだ、知ってるだろ、と当局に尋問されたり。

そんな波瀾万丈の数年間が、淡々と綴られる。これが実話だということに驚く。
この地域はパキスタン領とは言え、インドも中国も領有を主張している微妙な地域。なので、パキスタン政府としても動きづらいのかもしれない。イスラムの教えにより、女子は教育など受けなくてもよい、という風潮があるものの、実はそれは正統なイスラムの教えではない。イランの法学者がグレッグの活動を支持し、公式なお墨付きを与える場面は、この本の中でも最も感動的だ。
一方でサウジアラビアが圧倒的な財力でグレッグと同じようにパキスタンに学校を作っていく様子も描かれる。サウジはイスラム教でもワッハーブ派の国。ワッハーブ派は原理主義とかテロと結びつけられることが多く、サウジが建てる学校はテロリスト養成学校だという風に欧米人からは見られがちなのも事実。いくらパキスタンを愛し、みずからイスラムに改宗し、偏見なく接しているようでも、モーテンソンの視点にはそういうアメリカ人としての視点が残っていることも、また事実。
ただ単に「学校のない地域に学校を建てた善意の人のお話」というだけでなく、背景にうずまく宗教やジオポリティクスを解釈しながら読みたいところだ。

私はKindleバージョンを9.99ドルで買った。英語版ペーパーバックはamazon.co.jpで1000円ちょいで買える。
物語の終盤でグレッグは活動拠点をアフガニスタンに移しており、その後を語る続編「Stones Into Schools」も出版されている。
本書の日本語版は「スリー・カップス・オブ・ティー」というそのままのタイトルで、もう間もなく出版されるようだ。
なお、この本には小学校高学年向けに平易な言葉を使って書き直したYoung Readers Editionという版があるので、英語を勉強中の人はこれが読みやすいかもしれない。また、この版には「ここに学校をつくろう!」というタイトルの日本語訳版もある。
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